みなさん、こんにちは、涼平です。
今回は、私が働いている銀行で明日から取り扱えるようになった投資信託に関してその概要に関してまとめていこうと思います。その投資信託は、「グローバル3倍3分法」です。この投資信託は一言で表すと、「株ほどには下げずに株のように上がる」です。これから、その詳細に関して見ていきます。
このファンドは、日本を含む先進国の株式、債券、不動産、そして、新興国の株式と債券に投資します。割合では、債券:株式=6:4です。しかし、この資産配分は従来からある他のバランス型ファンドとは何も変わっていません。このファンドがほかのバランス型ファンドと比べて違い、そのため通常の場合上記のような「株のように上げる」ことはできません。しかし、このファンドはある仕組みを取り入れているために他のバランス型ファンドと違い、「株のように上がる」ことができます。その仕組みとは、「レバレッジ」をかけることです。
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〇レバレッジをかけるとは?
このファンドは、3倍のレバレッジをかけています。レバレッジとは少ない投資資金で大きな投資効果を得る方法で、この場合、100万円投資したとき実際には300万円投資したときと同じ効果が得られる投資信託であるということです。このように3倍の効果が得られると考えると、レバレッジとは何か危険なものではないかと思うかもしれません。しかし、必ずしもそういうわけではありません。
例えば、ここに100万円で購入できる福袋があったとします。そして、その中身はすべて売却すると120万円になるとします。自分の手元には100万円の資金があるとしたときに、1個購入して売却すると、利益は20万円ですよね。しかし、友人から200万円借りて、その福袋を3個購入したとします。そして、その福袋の中身をすべて売却すると、得られる金額は360万円になります。そして、友人に200万円返してもトータルでの利益は60万円になります。このように、お金を借りることで自己資金だけではできないような投資効果を得る方法を「レバレッジをかける」と言います。
ただ、注意点もあります。この例では購入する福袋の中身は購入した金額よりも高い金額で売れることを前提にして書いています。なので、もし購入金額よりも低い金額になってしまった場合には、その分損をしてしまいます。さらに、お金を借りるということは、その期間に応じて利息を支払わなければなりません。なので、その分福袋の中身の売却価格が利息分を上回らなければ、その分も損をしてしまいます。そのような意味で通常のレバレッジをかけない投資信託と比べた時にはリスクが高くなります。だからこそ、先進国債券の先物取引を行うのです。
〇債券の先物取引とは?
先進国債券の先物取引に関して説明する前に、先物取引に関して説明します。先物取引とは、「将来ある時点で、あるものをいくらで購入または売却するかを決定する取引」のことです。具体的に見ていきましょう。
例えば、ある酒屋さんに幻の酒が入荷しました。価格は時価でその時は1万円でした。そのお酒を欲しいと思っていたAさんでしたが、その時は手元にお金がありませんでした。しかし、1週間たつと給料日でお金が手に入ります。そして、その酒屋さんのほうでも1週間後にそのお酒が再入荷されるそうです。Aさんは、そのお酒は非常に希少性が高いので、1週間後にはもっと値上がりしているのではないかと考えました。そこで、Aさんは店主と交渉して1週間後にそのお酒を11000円で購入することを約束しました。店側からしても確実な売り上げが入ってくるので、予約を受け付けました。
そして、1週間が経ちました。1週間後お酒の価格を見てみました。そしたら、価格は12000円になっていました。しかし、Aさんは1週間前にお酒を11000円で購入することを約束していたので、結果的には1000円得をしていたことになります。逆に1週間後読みがはずれて、お酒の価格が10000円のままだとします。その場合でも、約束した通り11000円払わなければならないので、結果的に1000円損をしたことになります。このように、買う約束をした金額と実際の金額の差分により損益が決まる取引を先物取引と言います。
そして、上記のように先物取引では価格が予想よりも大きくずれているとその分得をするかもしれませんが、その分損をしてしまう可能性も高くなります。
次にこのファンドで、先物取引を行う場合には先進国債券で行っているということについて説明します。このファンドでは、実際に投資家から集めた資金の8割は、日本を除く先進国株式とREIT、日本のREIT、新興国株式の4資産にそれぞれ20%ずつ現物投資します。そして、残った20%証拠金として、20%を日本株式に、200%を日本を含む先進国債券に先物取引を行います。レバレッジをかけた資金で運用する資産が先物取引になるのは、現物取引で行った場合には、保有している期間に応じて利息が付き、その分」ファンドのコストがかかってしまうからです。その代わりに、先物取引で行うことで、お金が必要になるのは決済の瞬間のみになるので、金利というコストはほとんどかからなくなります。なので、レバレッジをかけた資金では先物取引で行います。
その先物取引で、運用する資産が債券中心であることは上の通りですが、なぜ債券中心になるのか? それは、債券が株式やREITと比べて価格変動性が小さいからです。価格変動性の高い株式やREITで先物取引を行ってもよいのですが、株式やREITは価格変動性が非常に高いので、大きく儲けることができる一方で、大きく資金を減らす可能性もあります。価格変動性の低い債券で先物取引を行うことで、高いリターンは狙いにくくなりますが、その分大きく資産が変動することは少なくなります。そのため、レバレッジをかけた資金での運用は安定資産である債券の先物取引で行います。
〇「株ほど下げずに株のように上がる」
この投資信託のキャッチコピーは、「株ほど下げずに株のように上がる」です。この投資信託は2018年10月4日に設定されましたが、それから約10か月の運用期間の基準価格の推移を他のファンドと比較していこうと思います。比較対象は、やはり「株ほど~」というキャッチコピーなので、株式型の物と比較していきますが、その中でも先進国株式のインデックスファンドである「ニッセイ外国株式インデックスファンド」です。
上記二つのうち、上の画像がグローバル3倍3分法の2018年10月4日からの基準価格の推移で、下の画像はニッセイ外国株式インデックスファンドの2018年10月4日からの基準価格の推移です。これを見ると、確かに2018年の年末にかけての下げ相場時にあまり下げないで、それ以降の上げ相場時に株式と同等に上げているということが伺えます。
ただ、注意点があります。このファンドでの上げ下げの相場経験はまだ一度ずつしかありません。なので、今後もこの動きを続けるかどうかは非常に難しいところです。今回は偶然うまくいった可能性もまだ捨てきれないという意味です。
〇ファンド注意点
・信託期間が2028年9月21日までと、期限が設けられている点です。この投資信託は無期限ではなく、満期があります。そのため、満期時に基準価格が取得価格よりも下回っていた場合には、元本割れを起こして帰ってきてしまいます。無期限の投資信託であった場合には、回復するまで待つことも可能ですが、満期がありますので、それができないというのは一つのデメリットです。おそらく運用会社としては、試験運用的な意図があるのでしょう。
・レバレッジをかけた運用であるという点です。レバレッジをかけた運用であるために、上記のように、バランスファンドでありながら株のように上がることができたのですが、レバレッジをかけるということは、それだけリスクが大きくなりますので、必ず余裕資金で行うようにしてください。
・上記でも書きましたが、2018年10月4日設定の投資信託と、日が非常に浅い点です。この投資信託は今までにあまりなかったレバレッジをかける投資信託として、仕組みとしては非常に魅力的な投資信託です。しかし、日が浅いためにこれからどうなるのか読めないこともまた事実です。新しい物好きな人からしたら非常に良いのですが、あまりリスクは取りたくな人にとっては向いていないかもしれません。
今回の内容は以上です。
私としては、このファンドは買いたいとは思いますが、今はタイミングが少し悪いかなと思います。おそらく収益の柱になっているのが先進国株式だと思うのですが、それが史上最高値を更新した直後なので、もう少し待ってみようと思います。
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