運用で難しいのは、「売り」と「買い」どちらだと思いますか? 


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投資信託などで運用をしていますか?

突然ですが、問題です。投資において、買いと売りどちらのほうが難しいと思いますか? 答えは「売り」です。市場にいつ参加するよりも市場からいつ出ていくかを決断することの方が断然難しいです。 例えば利益が出ているからと言って換金したら、数か月後そのファンドのベンチマークとする指数が史上最高高値を更新したり、利益が出ているからといって他の安値だと思われるファンドに乗り換えをしたら、実はまだそこは高値水準で購入してから、また下がり始めて、せっかく前のファンドで出した利益が帳消しになってしまったりと、売りのタイミングや乗り換えのタイミングは非常に難しいです。

実際に私も経験しました。2019年4月末、NYダウに連動するインデックスファンドを換金しました。その時には7%近くの利益が出ていましたが、その数か月後に史上最高高値を更新しましたよね。今になって、そのまま保有し続ければよかったなと後悔しています。また、特に勉強しないまま最近ずっと原油安が続いているから、ちょっとしたら原油高に反転するかなと何となく思って、原油価格に依存度が大きい中東のファンドを購入して、せっかくNYダウのインデックスファンドで出した利益の数%を捨ててしまったりと後悔が絶えません。

そこで今回は、投資信託の換金のタイミングと換金の方法に関してまとめてみようと思います。



 

Contents

〇投信換金のタイミング

1、一時的に大きなお金が必要になったとき

車の購入や結婚資金の準備、子供の教育費の準備など人生において、お金が必要になる時はたくさんあります。そのようなときに、積立てやスポットで購入してためておいたもので、利益が出ている投資信託を換金することは妥当性があります。しかし、この時には注意が必要です。投資信託は価格変動のリスクがありますので、投資した資金を割り込んで戻ってくる可能性があります。これを避けるために、一つのファンドに投資をするのではなく、いくつかのファンドに分けて購入することで、そのリスクを大きく低減することができます。

2、目標金額まで増えた時

投資信託は価格が変動するものなので、目標金額まで増える可能性があります。この時に、換金することで利益を得られます。その得られた利益を使って、何か購入してもよいですし、他のファンドに乗り換えてもよいです。しかし、このタイミングによる換金は場合によってはお勧めできないどころかしてはいけないものです。それはどういう場合なのかというと、その目標金額まで増やしたとして、その金額の使い道が特に決まっていない場合です。目標金額まで増やし換金したとしても、結局別のファンドに乗り換えるのであれば、そのまま同じファンドを保有し続けた方が投資効果は高いと思います。というのも、過去のデータで、売買の回数が多ければ多いほど最終的に得られるリターンが小さくなる可能性が高いという結論が出ています。別のファンドに乗り換えるのは年に一回まで、多くても2回までにしておいた方がよいです。それ以上増えると、購入換金手数料や税金で元本が削られていくので、目標金額まで達したが、特に使い道はないのでまた別のファンドで運用しようという戦術は、絶対にしてはいけません。もちろん、何かを購入するために、目標金額を定めて、そこに到達したら換金して購入するというものでしたら、全然問題ありません。

3、資産配分が大きく変わってきたとき

投資をするときには、最初にその人自身のリスク許容度に合わせて、どういう資産に投資をするのか決めると思います。リスク許容度が低い人は債券型の投資信託を大目にしたり、リスク許容度が高い人は株式型の投資信託を大目にしたりすると思います。そして、最初にどのくらいどのファンドに投資をするのか、割合を決めていき、最終的に投資をすると思います。しかし、時間の経過とともに資産価値は上昇したり下落したりします。その結果、当初定めておいた資産配分の割合から大きくずれる可能性があります。この時に、資産の売買を行った元の割合に戻す作業をする必要があります。この割合を元に戻す作業のことをリバランスと言います。上記でも書いた資産の売買は年一回にした方がよいというのは、1年に一度くらいは資産の配分を見直すべきなので、このリバランスのためにあてた方がよいです。
なぜリバランスが必要なのでしょうか? 答えの一つは、リスク許容度に合わせるためですが、他にも重要なことがあります。それは、基準価格が下がっている投資信託のほうが今後上がりやすく、下がっている投資信託のほうが下がりやすいという傾向があるからです。投資信託の基準価格は長期的に見ると右肩上がりですが、短期的に見た場合には上下を繰り返します。そこでリバランスをすることで、上がる可能性が高いファンドを多く保有し、下がる可能性が高いファンドを少なく保有することによって全体的なリスクを小さくし、リターンを大きくすることができます。しかし、ここにも注意は必要です。上記で書きましたが、何回もリバランスをやってしまっては効果は薄れるどころか逆効果になってしまいます。一年に一度この日を基準にリバランスを行うというように決めた方がよいと思います。

4、投資信託の純資産総額が減少し続けているとき

一般的に投資信託を選択する時には、基準価格の変動や手数料に目が行きがちですが、それと同等に注意しなければならないものがあります。それが純資産総額の変動の仕方です。純資産総額とは簡単に言ってしまうと、投資家からどれくらいお金を集めているかというものになりますが、小さいとよくありません。満足のいくポートフォリオを組むことができず分散投資の効果を期待できないからです。この純資産総額が減少し続けているファンドや急に増加したり減少したりするファンドは純資産総額の影響で基準価格が大きく変動するという流動性リスクが非常に大きくなります。なので、そういったファンドはあまり選択しないようにしましょう。投資をしていたとしたら、他の同分類のファンドに乗り換えるようにしましょう。具体的な目安として、純資産総額の急激な変動に比例して基準価格が大きく変動したり、数年間で純資産総額が半分以下になっているファンドがあったらこれ以上流動性リスクが大きくなる前に換金してしまった方がよいかもしれません。

 

ここまでで投信の換金のタイミングを書きました。次に換金の方法を書きます。



 

〇投信の換金方法
~一括で換金するか複数回に分けるか~

ここからは投信の換金方法について説明します。投信を換金する方法は二つしかありません。一回で換金してしまうか、何回かに分けて換金するかです。しかし、換金目的と時間に応じて取るべき換金方法は変わってきます。まずはそれぞれの方法のメリットデメリットを紹介します。

一括で換金する場合には、そのファンドの約定日の基準価格が全てになります。一回で換金できるので、煩わしい手続きがすぐ終わります。しかし、上記でも書きましたが、約定日が全てです。海外の資産に投資をする投資信託の場合には解約する基準価格は翌日の基準価格になりますし、その解約しようと思った基準価格は前日の基準価格です。その二日間の間に基準価格が大きく変動しない可能性はないので、場合によっては投資元本を下回る可能性もあります。

複数回に分けて換金する場合には、一括で換金する場合とは逆のことになります。どこかの基準価格が大きく下がってもトータルでプラスになっていればよいので、一括よりかはリスクは小さいです。しかし、何回かに分けて手続きをしなければならない煩雑さがあったり、換金して預金に入金されるまでに時間が掛かるのですぐに必要な場合にはこの方法はとれません。
また複数回に分けて換金をしていく場合には、二つの方法があります。一つ目が、金額をベースにして換金をする方法と、二つ目が口数をベースにして換金する方法です。購入する時には、ドルコスト平均法というものを利用して、購入する人が多いかもしれませんが、換金する時にその方法を利用しようと考えたことはありませんか? この方法をとる場合には、金額をベースにして解約していくことになります。

最後に、どちらの方法をとるべきかなのですが、4、純資産総額が大きく減少していたり、3、リバランスの場合には一括で換金した方がよいです。リバランスの場合には何回かに分けると計算が煩雑になりますし、第一複数回に分けることでのメリットはリバランスにおいてはほとんどないです。純資産総額が減少し続けている場合も同じです。そのまま待っていたら、流動性リスクが大きくなるばかりの可能性が非常に高いです。さっさと売却してしまって、そのリスクをなくしましょう。
ただ、1大きなお金が必要になった場合と2目標金額まで増えた場合には、複数回に分けることのメリットも大きいです。しかし、これはお金が必要になるまでにある程度時間的に余裕がある場合に限られます。そして、どのくらいに分けるのがよいのかと言いますと、1日毎か長くても一週間毎が効果的だと思います。というのも、数日程度であれば基準価格はそこまで大きく変動しませんが、一か月となると大きく変動している場合があります。プラス方向に大きく変動していればよいですがマイナス方向に大きく変動している可能性もあるので、インターバルはあまり長めに設定しないようにしましょう。

 

今回の内容は以上です。投資における換金のタイミングは非常に難しいです。特に投資始めたてで利益が出ている場合には注意が必要です。もっと高い利益を求めて別のリスクの高いファンドに乗り換える人が多いでしょう。私もその一人でした。しかし、そういった乗り換えは大抵うまくは行きません。最初に決定した投資戦略を貫徹して、資産配分は年一回のリバランス以外はよっぽどなことがない限りはいじらないようしましょう。

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