2024年3月に日銀によりマイナス金利が解除され、2024年7月にはオーバーナイト金利の誘導目標を0.25%にまで利上げが行われました。これを受けて、様々な金融機関で変動金利型の住宅ローンが0.15%の金利引き上げが行われています。
私自身も今後は住宅購入するかもしれないので、金利がどこまで上昇するのかということは気になるところではありますが、果たしてどこまで上昇するのでしょうか。
今回は日銀のターミナルレートについて考えてみようと思います。
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日銀の利上げの経緯
まず、大前提として考えていきたいことは、国内の金融政策は2013年に当時の黒田総裁によりはじった異次元の金融緩和により、マイナス金利やETFの購入などの質的金融緩和が開始されました。
2024年になった現在、コロナを受けて、その後のロシアウクライナ問題を経て、物価の上昇が継続してきました。しかしながら、コストプッシュ型のインフレ進行により景気の後退懸念が燻ることから利上げに対して慎重な姿勢を継続してきましたが、2024年春の春闘にて2年連続で賃金の3%以上の上昇が発表されると、日銀によりマイナス金利が解除されました。
その後、2024年7月には、日銀の見通し通りに国内のインフレ率が高い水準を推移し続けていることや、勤労統計から賃金の増加傾向が見て取れることを受けて、政策金利を0.25%へと引き上げた。
とはいえ日本の金利はまだまだ低い
日銀により政策金利は0.25%まで上昇しているものの、現状では引締め的な金融政策であるとはいえない。インフレ率が2%後半から3%で推移している中で、金利が0.25%であるため、実質金利は依然として-2%という数値となっています。
これは、アメリカの場合では、インフレ率が2%から3%で、政策金利が5%であることから、実質金利は+2~3%であり、ヨーロッパでは、インフレ率1%後半から2%で、政策金利が3.5%であることから、実質金利は1.5%から2%前半であることから、国内の実質金利は異様の低いことが伺えます。
こういった実質金利が依然としてマイナス圏を推移していることにより、米国では利下げ期待が高まっているにも関わらず円安の進行が止まらないのです。また、最近では自民党の総裁選があり、石破氏が総裁となりましたが、石破氏と植田総裁の間で、利上げはまだ待ってほしいというような取り決めのようなものが交わされましたね。これにより、すぐすぐ利上げが行われることはないでしょう。少なくとも解散が予定されている衆議院の選挙が終了するまでは、日銀は動くことができないでしょう。
現在では衆議院選が10月27日に投開票が予定されているので、その翌週に控える日銀の会合において、利上げが行われるとはまず考えにくいと思われます。
では、どこまで金利は上昇するのだろうか。
すぐすぐには上昇しないと思われる国内金利ですが、日銀の見通しの通り国内経済が推移すれば、利上げは行っていくと、植田総裁は言っています。どこまで上げるというのでしょうか。
この水準にヒントを得るために、日銀の見通しを見てみるとよいでしょう。
日銀は年に8回金融政策決定会合を開催しており、その奇数回ごとに展望レポートを公表しています。展望レポートは日銀の経済の見通しを把握する上で非常に有効となりますので、必ずチェックしましょう。
9月に会合がありましたが、偶数回であったために、展望レポートの公表はありませんでしたので、その前の7月分の展望レポートを見てみましょう。その時の展望レポートはこちら
本当はすべてじっくり見るのが良いでしょうが、まずはわかりやすい9~10ページを見ていきましょう。
こちらの表とグラフは日銀のよる国内経済のうち、GDPとインフレ率の見通しで今年と来年、そして、再来年までの見通しを記載したものです。
2024年7月の会合において、日銀は、2024年の国内経済の見通しとして、実質GDPは+0.5~0.7%で推移すると予想しており、インフレ率は+2.5~2.6%で推移すると想定しております。植田総裁は、この見通し通りに推移すれば、中立金利までは上昇させると話しています。
中立金利とは?
さて、先ほど「植田総裁は政策金利を中立金利まで上昇させる」と話しましたが、中立金利とは何なのでしょうか?
ここでまずは定後の確認をします。みずほ証券によると以下のように説明されています。
中立金利とは、実際の生産量が潜在的な生産量に一致するときの実質金利を意味し、自然利子率、均衡実質金利とも呼ばれる。実質金利が中立金利を上回ると、実際の生産量が潜在的な生産量を下回るため、経済にデフレ圧力が生じる。一方、実質金利が中立金利を下回ると、実際の生産量が潜在的な生産量を上回るため、経済にインフレ圧力が生じる。したがって、中立金利とは、経済・物価に対して引締的にも緩和的にも作用しない中立的な金利を意味する。
名目成長率とは、去年と比べて単価がいくら上昇したのか?実質成長率とは、去年と比べて販売量がいくら増加したのか?つまり、名目とは値段であり、実質とは量です。
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