米国雇用統計(2024年9月分) 失業率が連続して低下

今回の雇用統計で特筆すべき点は、失業率が低下したことでしょう。

2023年7月から2024年7月にかけて米国の失業率が3.5%から4.3%まで上昇しました。直近1年間での失業率が0.5%以上上昇すると、不況入りしたとするといわれるサームルールのもと、景気後退が非常に懸念されていました。しかし、2024年10月4日に発表された2024年9月雇用統計では、前回2024年8月雇用統計において4.2%に低下したことに引き続き失業率4.1%まで低下しました。

このように失業率の低下に一定のトレンドが現れたことは、景気後退懸念が薄れるという意味で非常に有効な経済指標であったと思われます。

 

このトレンドが継続して、失業率がさらに低下するかどうかということが非常に重要になってくると思われます。

とはいえ、今回10月1日と3日に発表されたISM製造業景観指数とISM非製造業景況感指数では、どちらも雇用の部分が8月と比較して9月は悪化していました。この部分からも雇用は前回維持または若干悪化することが予想されていた可能性もありますので、注意も必要です。

一方で、雇用統計の前哨戦ともいえるADP雇用統計やJOLTS求人件数では、予想を上回る数値となり、雇用統計(特にNFP)は高い数値となることは予想されていました)

現状では人手不足などにより、インフレ率の上昇率よりも所得の上昇率のほうが高い状況となっており、一人で複数の会社に雇用されるなど、NFPが高く出やすい環境であると思われます。

また、今回の失業率はFRBがSEPで想定している失業率(4.2%)よりも低く出ています。このことにより米景気の底堅さを示す良い材料となっています。

ここからですが、11月5日に米国大統領選を控えているため、当面は様子見姿勢が継続することと思われます。そのため、マーケットは経済指標に一喜一憂する局面が継続すると想定され、継続的な上昇あるいは下落が継続することはないと思われます。

今月は10月30日に米国での7-9月期のGDPが発表されるため、その中身の注視しましょう。

参考
米国雇用統計