米国ETFを売買する時 円? ドル? 結局どっちがいいの?


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将来の資産形成をするにあたって、米国のETFを利用している人が多くいると思います。その中で、多くの方が迷うところがあると思います。それは、ETFを円建てで決済するか、外貨建で決済するかどちらで決済するのかということです。今回は、その選択肢について考察していこうと思います。

Contents

ETFの円決済と外貨決済

外国のETFを売買する時には主に二つの方法があります。上記でも書きました、円決済と外貨決済です。これは、購入だけではなく、売却の時にも選択することができます。例えば、アメリカの証券取引所に上場しているETFを購入する場合には、常に決済は米ドルで行うことになります。つまり、日本円では直接的にETFを購入することはできないのです。なので、どこかのタイミングで、円を米ドルに交換(あるいは、米ドルで売却したものを円に交換)しなければならないのです。

このタイミングの違いが円決済と外貨決済の違いになります。

ETFの円決済とは?

まずは、ETFの円決済について、紹介します。まずは、購入する時です。

外国のETFを購入する時に円決済を利用するという方法は、注文したその時の為替レートを利用して、ETFの買い付けと同時に、通貨の交換を行う方法です。

逆にETFを売却する時に円決済を利用する場合には、ETFの売却と、通貨の交換をその時のレートで同時に行う方法です。

ETFの外貨決済とは?

次にETFを外貨で決済する場合について紹介します。

ETFを外貨で購入する場合には、ETFを購入する前に、事前に円資産を外貨建に交換しておいて、その後その外貨でETFを購入するという方法です。

逆にETFを売却する時に外貨建で決済するというのは、、ETFを売却したときに両替までは行わずに、外貨建で資産を保有するという方法です。

以下の画像が仕組み図です。


それぞれの方法のメリット・デメリット

では、次にそれぞれの方法のメリットデメリットについて紹介していきます。どちらの方法が良いか悪いかは様々な意見があると思いますが、どちらも一長一短です。

円決済のメリット

売買の仕組みがわかりやすい

この記事を読んでいる人は日本人の方で、資産の預金などの現金資産のほとんどを日本円でもっている人がほとんどだと思います。なので、日本円から購入を行い、売却したときには日本円で戻ってくるというのであれば、損益の状況が非常にわかりやすいと思います。

もしこれが、給料などを外貨で受け取っているという場合であれば、円決済のメリットである「わかりやすい」という強さはほとんど失われてしまいます。このメリットは私たちが日本円で生活しているという前提につきます。

円決済のデメリット

為替レートの変動によって損益が変動する

次に円決済のデメリットについて紹介します。円決済にするときには、ETFの売買と両替を同時に行います。なので、非常にわかりやすい仕組みになっているのですが、その分為替レートの変動の影響をもろに受けます。

もちろん、為替レートの変動とETF価格の変動を見ながら売買を行うこともできますが、二つの動きを考慮して売買を行うには難しいのではないでしょうか? なので、外国ETFを円決済で売買している人のほとんどは為替レートの変動はあまり考慮していないのではないでしょうか?

ただ、為替レートにも変動があります。米ドルの場合には一年間で大きいと5%程度変動がありますので、資産総額においては5%程度の変動がある可能性があります。このような点で、円決済には為替レートの変動を受けるというデメリットが存在ます。

外貨決済のメリット

為替レートの変動をある程度コントロールすることができる。

外国ETFを売買する時に、外貨で決済する場合には、両替を行わなかったり、ETFを売買する時に両替のタイミングをずらして行うことができます。なので、為替レートの変動の影響を受けなかったり、為替レート変動の影響をコントロールすることができます。

例えば、ETFを購入する時に、為替レートが円高のタイミングで両替しておいて、その後にETFの価格が下がったタイミングで購入することもできます。また、売却する時にはETFの価格が上がったところで一度換金しておいて、為替レートが円安になったタイミングで両替を行うこともできます。

また、円高と株高が重なったタイミングで売却する時には、そこで円決済で売却してしまうと、為替レートにより損益が悪化してしまいます。ただ、為替レートが回復するタイミングを待っていても、その時には株価が下がってしまう可能性もあります。なので、一度外貨決済をしておいて、為替レートが円安になったタイミングで両替を行ったり、株価が低くなったタイミングでもう一度外貨決済で株を購入するなどとることができる選択肢に幅が広がります。

外貨決済のデメリット

タイミングを計る必要性がある。

ETFを外貨決済で購入する場合には、外貨をすでに保有しているのであれば、その資金で購入することができます。しかし、外貨を持っていない場合には事前に両替をしておかなければなりません。

このように為替レートの変動とETFの価格の変動の両方とを気にしなければならないので、考慮することが非常に多くなってしまいます。



どちらがおすすめ?

以上で、円決済と外貨決済のメリットとデメリットを紹介しました。ところで、どちらがお勧めなのでしょうか?

私は、購入する時も売却する時も円決済で良いのではないかと思います。

もちろん、様々な場合があるので、すべてこれで良いとは思いませんが、ETFで長期投資をするということを想定した場合には、外貨決済をする必要がないと思います。

リスクが断然に違う

まずは、以下の画像を見てください。

このグラフは、S&P500ととドル円レートの週間の変動率の標準偏差を2000年から算出したものになります。青色のラインがS&P500の標準偏差で、オレンジ色のラインがドル円レートの標準偏差になります。

見ていただければ一目瞭然ですが、ほとんど場合にはS&P500のほうがリスクが大きくなっています。このグラフは週間の変動率の標準偏差になっています。全体的に考えますと、S&P500は平均では2.48%、ドル円レートの場合には平均で1.34%になっています。つまり、この20年間の平均値としては、S&P500は一週間で2.48%変動することが多く、ドル円レートの場合には1.34%変動するということを指しています。

利益が全然違う

では、次にこのグラフを見てください

上のグラフは、2000年から2021年の第1四半期までのドル円レートとS&P500の推移を表したものです。右軸がドル円レートで、左軸がS&P500になっています。

このグラフを見ていただければわかると思いますが、ドル円レートは80円から120円のレンジで循環しているように見ることができます。それに対して、S&P500は一時的に大きく下落する場面もありますが、総じて上昇しています。

このように為替レートは長期で見ると一定のレンジで行ったり来たりを繰り返しているような動きになりますが、株価の場合には長期の視点で見ることで大きく値上がりをしてます。このような意味で、為替レートのよりも株価のほうが最終的な利益に及ぼす影響が大きくなります。

そもそも

そもそも、長期投資であるのであれば、購入して以降、基本的には売却することを想定しないのではないでしょうか? また、購入する際には、ある程度資金がたまったらというよりも、毎月給料が入ったときに一定額購入に回しているというように考えられます。

逆に短期売買であるのであれば、何回もロールすることが前提になっているはずです。その場合には、両替することを想定していないはずです。なので、基本的には外貨決済になるのではないでしょうか? そこでいちいち両替をしているようでは無駄なコストになってしまいます。

長期投資の場合でも、少しでも良い条件で購入したいと考える場合もあるでしょうが、そもそも為替レートの変動リスクは株価変動リスクと比べて非常に小さいです。長期投資において、為替レートを気にして外貨決済をするという場合には、大きな機会損失につながる可能性が高いと思います。

なので、私はこのようにおすすめしたいです。

まとめ

今回の内容は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。

最後のところで書いた通り、ETFなどの上場商品で海外のものを購入する時には、円決済と外貨決済があります。しかし、為替レートの変動よりも株価の変動リスクのほうが圧倒的に大きいです。

為替レートの変動を考慮しすぎて、株価の変動を重視しないのは、株式投資において大きな機会損失になると思います。なので、基本的には円決済で問題ないのではないでしょうか?

ただし、短期売買を行いロールを繰り返すことを想定するのであれば、円決済では両替コストがかかってしまうので、利益の圧縮につながってしまいます。なので、外貨決済をお勧めします。

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