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今回の記事では、株式や債券ではなく投資信託で運用をする場合に関することです。運用をするときには利益に注目をすると思いますが、実は投資信託の場合には利益というのは2種類存在します。
Contents
投資信託の利益とは?
それが、
①運用損益
②評価損益
です。
運用損益とは? 評価損益とは?
多くの方が注目するのは、大抵の場合①運用損益でしょう。
運用損益というのは、
「いくら投資をして、いくら儲かったのか?」
ということです。
計算式で言いますと、
運用損益 = 時価評価額 - 投資金額
一方で、評価損益というのは、
「持っている投資信託の価値がいくら変動したのか?」
です。
こちらも計算式で言いますと
評価損益 = (基準価格(時価) - 取得価格)× 保有口数
株式やETFの場合、運用損益=評価損益になるので、気にする必要はないのですが、投資信託の場合にはそれぞれ別になる場合があります。なぜなら、投資信託には普通分配金のほかに特別分配金というという仕組みがあるからです。
評価損益≠運用損益になるのは分配金があるからである
投資信託で運用をしている場合には、運用損益がプラスであるのに、評価損益がマイナスになるということがあります。これは投資信託特有の、分配金を自動で再投資するという形をとることができるために生じてくるものです。このような運用損益と評価損益が違うという事象は、ある二つの場合によく起きます。
①長い期間投資信託で運用をし続けている場合
②購入当初は分配金が高かった投資信託で運用を続けている場合
投資信託の分配金は必ず出るようなものでもないですし、最近は分配金の金額も低く抑えられているものが多いので、あまり多くは見られませんが、以上のような条件が当てはまる場合には、運用損益と評価損益が大きく異なることがあるかもしれません。
分配金とは何か?
評価損益と運用損益が異なってくる理由は、分配金を自動で再投資する仕組みをとることができるからであると書きましたが、まずは分配金とは何かということを書いていこうと思います。
分配金とは?
分配金は、投資信託の決算ごとに受け取ることができる利息のようなものです。しかし、利息とは異なります。
利息は元本とは別のお金として発生するものですが、分配金は投資信託の資産を切り崩して投資家に払い出しているものになります。なので、分配金が出ると投資信託の基準価格はその金額分削られて算出されます。
また、分配金はいつでも出るわけではありません。配当金と同様に決算があった際に、分配金を出すような形になっています。分配金を出す頻度は投資信託によっても異なります。一年に一回のものもあれば、半年に1回のものもあります。さらには、毎月分配金を出すものもあります。
そのような意味では、分配金を出す頻度が高い(=決算の頻度が高い)投資信託ほど、運用損益≠評価損益になりやすいです。
分配金には2種類あります。
分配金は2種類に分けることができます。
普通分配金と特別分配金です。
普通分配金と特別分配金は何が違うのか分配金が出ない投資信託の場合には分配金が出ない投資信託の場合には
普通分配金はいわば利益ですが、特別分配金は利益ではなく、元本を切り崩している状態です。元本を切り崩しているので、特別分配金は課税対象ではありません。逆に、普通分配金は利益であるので課税対象になります。
また、これが一番重要な点なのですが、分配金は出た分だけ基準価格切り下げると同時に、特別分配金も、出た分だけ投資信託の個別元本を切り上げていきます。また、再投資する場合にはその時の値段でもう一度買い付けるという形をとっています。投資信託の基準価格が前回の決算以降で、大きく上昇しているのであれば、普通分配金だけになりますが、基準価格の上昇幅よりも分配金額が大きければ必然的に特別分配金が増えてきます。
投資信託には分配金を出さない投資信託と分配金を出す投資信託があります。分配金を出さない投資信託の場合には、基本的には評価損益と運用損益が同じになります。つまり、売却する時に今までの利益に対してまとめて税金が発生しているイメージです。
逆に分配金を出す投資信託の場合には、投資信託を売却する時ではなく、投資信託の保有期間中に定期的に税金を支払っているイメージです。
要するに、分配金が出る投資信託と分配金が出ない投資信託の違いは、税金の支払うタイミングであると考えることができます。
分配金が出る投資信託の場合には、定期的分配金が発生して、その発生した分配金が普通分配金であるのであれば、その都度利益とみなされて、税金が差しひかれていきます。その分個別元本となる数値が下がっていきます。
この状態を繰り返すことで、運用損益はプラスになっているにもかかわらず、評価損益がマイナスになっているという状態が生まれるのです。しかも、分配金について高い分配金を出す投資信託であればるほど、この状態は加速度的に進んでいきます。
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