映画紹介『マネーショート』 より映画を楽しむために知っておくべきこと

みなさん、こんにちは! リョーヘーです。
この記事を開いていただきありがとうございます。

 

今回は久しぶりに映画の紹介でもしていきたいと思います。今回紹介する映画は「マネーショート」です。この映画は2008年のリーマンショックを描いた映画で、アメリカ経済の住宅バブルをいち早く見抜き、その崩壊に備えた人たちの実話をもとにしてつくられた映画です。

以前にもリーマンショックを描いた映画「インサイドジョブ」を紹介しましたが、そちらはリーマンショックを俯瞰的に描くドキュメンタリー映画であったのに対して、今回紹介する「マネーショート」は、その渦中にあった人に注目した映画で、インサイドジョブよりは見やすい映画であると思います。

 

とはいっても、金融の世界というのは一般の人どころか、金融業界の従事している人でさえわからないような言葉にあふれています。この記事では、映画マネーショートをより面白く見るためにいくつかのワードに関して紹介していきます。

 

①モーゲージ債

モーゲージ債とは、端的に説明すると住宅ローンを証券化することです。通常、住宅ローンは一般個人に銀行がお金を貸すという方法をとって、その返済金と利息を銀行が受け取るという仕組みをとっていますよね。個人が返済できなくなるリスクを銀行が負うことになります。証券化とは、乱暴な説明をしてしまうと、その返済ができなくなるリスクと、受け取る利息の一部を別のだれかに移管するできるようにする手続きのことを言います。
そして、その証券化した住宅ローンをいくつも組み合わせたものをモーゲージ債と言います。こうすることによって、単一の住宅ローンではリスクはその個人がローン返済できなくなることに集中しますが、いくつも組み合わせることによって、その中身に属する人たち全員が返済をできなくなることに代わります。

②CDO

CDOは、Collateralized Debt Obligationの略で、モーゲージ債よりもさらに厄介です。簡単に説明すると、モーゲージ債をさらに集めた証券です。

③CDS

CDSは、さらに厄介です。Credit Default Swapの略で、簡単に説明すると、保険です。どういう保険なのかというと、債務不履行になったときに保険金が支払われる保険です。
仕組み自体はそんなに難しくはないのですが、何が厄介なのかというと、通常保険というのは、自分や配偶者、子供に何かあったときに保険金が支払われることが普通です。しかし、このCDSは全く関係のない誰かが債務不履行になるかどうかに掛ける(賭ける)ことができる保険であるという点です。

④ショート(空売り)

信用取引の一種です。我々個人が簡単にできるような証券取引というのは、株式などを安い価格で買って、高い価格で売るというものですよね。なので、普通は相場が下落しそうなポイントでは、売るということはしても、売るものがなければ相場で取引を行うことができないですよね。
これをできるようにしたものが、空売りです。簡単に説明すると、金融機関から株式や債券を借りて、一度市場で売却を行い、期限までに買い戻して、それまでの利息と運用銘柄を金融機関に返すということです。
買い戻したタイミングが、借りた時よりも証券の価格が下落していれば、下落した分が利益になりますし、逆に証券が上昇していた場合には上昇していた分損になります。それゆえに、非常に難しい投資法です。なので、一般の人々にはできない投資法です。

 

この映画では、アメリカ経済の崩壊に気づいた人々が、CDOの債務不履行にかけて、CDSを購入したのです。

これでもよくわからないですよね。もっと詳細を説明します。

多くの住宅ローンの集合体であるモーゲージ債、そのモーゲージ債のさらなる集合体であるCDOは、その中身である個人が住宅ローンを返済することができなくなると、損失が生まれます。それが一部であれば、大きな損失にはなりませんが、リーマンショックではそのほとんどがローンを返済することができなくなっていました。なぜか?

モーゲージ債、CDOは仕組みとしては非常に有効的なものでしたが、その中身がクズだったんです。モーゲージ債が生まれた最初のころは、返済能力が良い人たちだけを対象にして、住宅ローンを組成し、それをモーゲージ債にしていました。しかし、返済能力がよい人はそんなにたくさんはいません。そこで銀行は、返済能力があまり高くない人たちにもお金を貸すようにし、モーゲージ債を組んだのです。それがサブプライムということです。

そんなサブプライムな人たちにお金を貸して大丈夫なのかというと、大丈夫ではないでしょう。ではなぜそんなことができていたのか。それこそがCDOです。サブプライムへの人たちへの住宅ローンを組み込んだモーゲージ債は一般的に格付けは高くはありませんでした。しかし、CDOによって、モーゲージ債の集合体を作ることによって、高い格付けを得ることができたのです。

 

実態がこんなものだったら、いずれおかしなことになると誰もが思いますよね。しかも、サブプライムが借りているローンというのはすべて変動金利になっていました。金利が上昇した場合には、それに応じて返済金額も上昇します。返済能力が弱い人の場合には生活を逼迫します。そして、その当時は、金利が上昇すると見込まれていたのです。現在が住宅バブルだと気づいた一部の人々は、崩壊へ備えるようにしたのです。

そこでやっと登場するのがCDSです。彼らはCDSを購入しました。CDSというのは上記で保険と言いましたね。保険ということは、契約から保険料を支払って、保険金支払事由が発生したときに保険金が支払われるものです。

CDSの場合には、彼らが銀行に保険料を支払い、銀行は彼らから保険料を受け取る。保険金支払事由に該当するCDOが破綻した場合には、銀行から保険金を受け取ることができるという仕組みになっています。

 

 

彼らはCDSを購入しているのに、映画題名が「マネーショート」つまり、空売りになっている。このことが最も分かりにくいポイントの一つです。確かに、彼らはCDOが下落する方にかけていることは間違いのないのですが、実際行った取引はCDSの購入です。

通常のオプション取引においてショートポジションをとることは、利益はオプション料金に限定されますが、損失は無限です。しかし、この映画で描かれている状況の場合、彼らのとったポジションは損失はオプション料金に限定されますが、利益は無限です。つまり、プットのロング。売る権利を購入したというようになっています。

なので、少しわかりにくくなっています。

 

 

とはいえ、この映画は難しい金融用語を日常生活やギャンブルに例えて、面白おかしく伝えているという点で、非常に見やすい映画であることは間違いありません。一度見てみてはいかがでしょうか?

 

今回の内容は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事が面白いと思っていただきましたら、ぜひ「いいね」などのボタンをお願いします。

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