経済指標の読み方② ビッグマック指数、日銀短観

みなさん、こんにちは。

前回の記事で、投資支出に関する指標の読み方に関して紹介しました。そこでは、住宅着工件数とISM製造業景況指数を紹介しました。どちらも先行指数で、景気に先行して現れる指数ですので、それ以降でどのように景気が推移するのかを予想するのにつかわれる指数です。今回はその続編ということで、国際市場に関する指数を紹介します。

今回紹介する指数は今後の為替の動きを見るために使われる指数で、紹介するのは以下の二つの指数です。

①ビッグマック指数

②日銀短観

それではさっそく指数の詳細に関して紹介していきます。

 

Contents

〇どこでも同じものが売っているからこそ使えるビッグマック指数

最初に紹介するのが、「ビッグマック指数」です。これは世界的に有名な企業であるマクドナルドの有名な商品「ビッグマック」を世界各国ではいくらで購入することができるのかということを比較した指標です。例えば、アメリカでビッグマックが1ドルで購入でき、日本ではビッグマックを100円で購入することができる場合には、理論上は為替レートが1ドル=100円になるはずです。このように、同じ商品を購入する場合世界各国で同じ価格になるはずであるという理論を購買力平価説と言います。しかし、実際には1ドル105円になったり、1ドル95円になったりと、毎日為替レートは変動しています。このように変動していく中で、比較的過小評価されている通貨を見つけて、それを買うことで利益を得るために使われるのが、このビッグマック指数です。

具体的に見ていきましょう。例えば、ビッグマックを購入する場合に、日本では100円、アメリカでは1ドルであったとします。そして、当時の為替レートは1ドル=105円であったとします。この場合、ドルベースで換算した場合には、アメリカでは当然1ドルで購入できますが、日本では0.952ドルで購入することができます。このような場合、日本円は米ドルと比較して過小評価されているということを表します。この場合、将来的には為替レートは1ドル100円に収束すると考えられているので、米ドルを保有するよりも日本円を保有していた方がよいという判断になります。

逆に、1ドル95円の場合にはドルベースで見た時に、ビッグマックを購入する場合に、アメリカでは1ドルで購入することができますが、日本の場合には1.052ドルを要するということになり、米ドルと比べて日本円は過大評価されていることを指します。将来的に為替レートは1ドル100円に収束すると考えられるので、日本円で保有するよりも米ドルで保有する方がよいという判断になります。このように将来的な為替レートを予測するために使われるのがこの「ビッグマック指数」です。

このビッグマック指数ですが、参照するときには注意が必要です。それはビッグマックという財を詳細に見る必要があります。ビッグマックは食品ですよね。そのため、作り立てのビッグマックには1ドルを支払う価値がありますが、作ってから1週間たったビッグマックには1ドル支払う価値なんてありませんよね。このようにビッグマックは形ある商品という性質を保っていながらも、その場ですぐ消費されるサービス産業という性質も有しています。そのため、人件費が安い新興国のほうがビッグマック指数は過小評価されやすいという性質を有しています。そのため、円に比べて新興国の通貨が過小評価されているからと言って、即その通貨を保有するという決定はしない方がよいです。

では、この指数はどのような場合に使う方がよいのでしょうか? この指数を見るときには、同じような経済水準(一人当たりのGDPなど)の国を比較して、極端に過小評価されている過小評価されている通貨を見つけだすということに非常に有効的です。例えば、もう新興国とは言えないかもしれませんが、中国は非常に成長した国でありながら今年のビッグマック指数を比較すると、50%以上も過小評価されています。つまり、ビッグマックを購入する場合、中国では0.5ドルで未満で購入できるということです。確かに中国は少し前まで新興国で、GDPも世界第2位になり、経済大国と言える存在になりました。しかし、通貨は米ドルに比べて50%も過小評価されているというのは、いくらん案でも過小評価されすぎではないでしょうか? そのような意味でも、今後この人民元安が解消されていくと考えることができます。このように、このビッグマック指数は、あくまで他の通貨と比べて過小評価されすぎている通貨を見つけ出すという目的において使われる指標です。

最後にこのビッグマック指数は、年に一回エコノミスト誌から発表されます。

 

〇地球上でもっとも包括的な指標 「日銀短観」

次に、日本経済の今後の動向を予測するのに、非常に有効な指標を紹介します。それが「日銀短観」です。これは四半期ごとに日銀が発表している指標で、大企業から中小企業まで約1万社に現在の景気や今後の見通しだけでなく、雇用や仕入価格、そして、資金繰りなど様々な項目に関するアンケートを行って、それを集計したものです。その中でも注目度が非常に高い指標がDI(ディフュージョンインデックス)です。これは、企業に対して3択のアンケートを行います。その3択とは、①よいい、②さほどよくない、③悪いの3択を行い、①よいと答えた企業の割合から③悪いと答えた企業の割合を引いた値です。例えば、300社に企業収益に関して上の質問したときに以下のような回答が来たとします。

項目 企業数 割合
①よい 60社 20%
②さほどよくない 165社 55%
③悪い 75社 25%

この場合、DI=20%-25%=-5%になり、企業収益に関してさほど良くないということが伺えます。注目するのはこの指数が0より大きいか小さいかです。大きければ今後景気は良くなると考えられ、小さければ今後景気は悪くなると考えられます。日銀短観では、このDIが企業収益のみならず、商品在庫や設備投資など様々な指標で行われます。このような意味で、上記で書いたように日銀短観は「地球上で最も包括的な指標である」と言われています。

日本には、経済状況を測る指標はGDPなどがありますが、GDPよりもこの指標に注目した方がよいと言われています。というのも、日本政府が発表するGDPは非常に信用性が低いと言われています。なぜ信用力が低いのか、それは、一度発表したGDPをあとから修正するからあり、またその修正量が非常に大きいからです。どのくらい大きいのかというと、一度プラス成長であると発表したにもかかわらず、そののちの修正でマイナス成長であるという習性が入るほどです。そのため、投資家は日本政府が発表するGDP値はほとんど参考にしていないようです。

また、この日銀短観を参考するだけでもよいのですが、経済産業省のHPから日銀短観よりも詳細なデータを収集することができます。場合によっては、そちらを参考にすることでより詳しい分析をすることができるかもしれません。余裕があればそちらも見てみるとよいかもしれません。

この日銀短観は、4月7月10月12月の各初旬の8時50分に発表されます。ぜひ参考にしてみてください。

 


今回の内容は以上です。最後まで読んでいただいてありがとうございます。ビッグマック指数は為替に注目したバリュー投資をするのに適していますし、日銀短観はその後の景気動向に注目したグロース投資に適しています。特に日銀短観は過去のデータを見ると、景気との非常に相関性が高いので信頼度が非常に高いです。今回の内容が面白いと思っていただけましたら、ぜひ「いいね」などのボタンをお願いします。