2050年でも成長 「ヒト」から見る経済動向

 みなさん、こんにちは!

 以前の記事で、今後とも経済成長に予測できるような国株価指数をベンチマークとするインデックスファンドに投資をした方がよいのではないかという記事を書きました。今回は、経済成長において最も重要な「ひと」という観点において、現状の分析と今後の予測、そして、そのことからわかる株価動向について考えていきたいと思います。特に今回の記事で書く「ひと」とは、「人口」、「移民」、「観光」に焦点を当てて、2050年代までの経済と株価について考えていきます。

参考資料は、

最新世界情勢地図(パスカルボニファスス著)です。

 

Contents

●人口について

 現在地球上には約70億人の人がいますが、2050年代にはどの位になっているでしょうか? 以前の予測では250億人という非常に莫大な人口が予測されていましたが、現在の最新の統計予測によると、2050年の人口は約96億人に達すると言われ、そこで安定すると言われています。近代における人口増加は主に北半球で起きてきました。北半球では産業革命などの効果によって早くから衛生面や経済的な中間層が存在が大きくなっていきました。そのおかげで、人口増加の主な要因は北半球の人口増加によるものでした。しかし、21世紀における人口増加は北半球の影響ではなく、南半球の人口増加によるものになります。特に、これから経験する人口増加のうち南半球によるものが95%以上を占めると言われています。

 その一方で、北半球では人口減少に直面します。今後どれくらいの人口増加が見込まれるかの指標となる合計特殊出生率は北半球の国では、ほとんどすべての国において2を下回っています。このように北半球の国では人口減少が予想されますが、アメリカだけは例外ではないかと考えられます。というのも、移民の存在が非常に大きいです。現在でもアメリカは世界最大の移民受け入れ国家です。この移民の影響で今後人口は減りはしないのではないかと考えられています。しかし、最近のトランプ大統領のアメリカファーストな政策において移民は今後減っていく可能性も十分にあるので、今後とも移民を受け入れ続ける国家である可能性は決して高くはありません。

 そして、今後様々な国がどのくらいの人口になるのかというと、アフリカは現在約12億人の人口を有していますが、その数は2050年には倍になるのではないかと考えられています。そして、現在爆発的に人口が増加しているとされるインドでは、人口が16億人となり、世界一の人口を有する国になるのではないかと考えられています。

 しかし、その時にはほとんどの国において合計特殊出生率が2を切ると考えられています。現在では、今後人口が増え続けるとその人口を養うための資源が足りないということが世界的なコンセンサスになっていますが、2050年になるとそのコンセンサスは変わってくるのではないでしょうか? もちろん、人口が増加するために資源が足りないという人口増加による懸念事項も絶えないと考えられますが、それと同じくらいに人口減少や人口高齢化による懸念事項も大きくなっていくのではないでしょうか?

 

●移民に関して

 次に移民に関して見ていきます。移民とは、「別な国に居を定め、そこで少なくとも1年間は市民として暮らした人」のことを指します。歴史的に見ると移民が活性化した時期は3回あります。

①16世紀から17世紀の植民地拡大時代

 この時は、大航海時代に重なります。各国は植民地貿易の窓口としての商業的な理由や、日本にも来たキリスト教を布教するための宗教的な動機の二つがありました。この時期の移民は、ヨーロッパの人々の移民だけではなく、植民地とした先の労働力を確保するために、強制的に移民をさせられたしゅりかの人々などもいます。

②19世紀の産業革命時代

 この時は、技術が発達したことにより交通輸送費が大きく下落しました。そのため、非常に世界の相対的な大きさが小さくなりました。また、この時期はちょうどヨーロッパで不況と飢饉が重なりました。そのため、ヨーロッパ社会に不安感を覚えた人々がアメリカ大陸に移動しました。また、この時期にはアメリカ大陸でゴールドラッシュが重なりました。そのため、一獲千金を求めて、中国人がアメリカ大陸に非常にたくさん移動しました。

 しかし、その後1900年代前半は移民が非常に減少します。何があったのかという第一次世界大戦や第二次世界大戦です。このような時期には国を移動することは非常に危険を伴うため、それ以前と比べるとかなり人口移動は減少しました。

③戦後の移民再増

 二回の世界大戦が終了すると、移民はまた増加し始めました。国際的な安全性を取り戻したからです。そこから、漸増していき、1965年には7500万人だった移民は今日では2億4千万人までに増加しました。

 以上が歴史的に見た時の移民の増加時期です。しかし、①,②の時と③の時とでは移民の性質が違います。以前の移民では、経済的なフロンティアを求めてという経済的理由における移民が非常に多いですし、それがほとんどです。実際に、当時の移民は北半球から南半球に移動することが多いです。しかし、現在の移民は性質が少し異なります。もちろん、そうした経済的フロンティアを求めて移動する人々もい多いですが、それだけではなく、紛争難民としての移民が非常に増えています。移民の約40%が紛争難民であると言われています。このように経済的フロンティアがなくなってきた現在における移民の主流は紛争から逃れるための安全を求めるものになりつつあります。

 

●最後に観光に関して

 観光による人口の移動とは、「人々が国境を越えた先で少なくとも24時間、仕事以外の目的で滞在する旅行すべて」のことを指します。1950年代には2500万人程度の規模でしたが、現在では毎年9億人の規模の人々が国境を超えた国際観光を楽しんでいます。

 特に観光業は新興国において、非常に魅力的な産業です。というのも、財政面、人とのつながり、雇用面で確実な成果を直接的に上げることができる産業であり、また開発途上国が外貨を獲得するための最大の手段となっているためです。

 

●以上の予測や事実からわかること

 株価などの指数は、GDPに連動し、そのGDPの6割から7割を占めるものが、個人消費です。つまり個人消費が増加すれば大きくGDPが増加します。個人消費が増加するために必要なものは、人口が増加することと、一人当たりの個人消費額が増加することです。そして、一人当たりの個人消費額が増加するのは先進国には非常に難しいですが、新興国なら難易度はそこまで高くはありません。そして、一人当たりの個人消費額が増加するためには、第二次産業である製造業が成長することが最も効率的な方法です。

 このような第二次産業が成長しそうな国というのは、労働賃金が安い国です。世界工場と言われる中国では、最近は賃金が高くなってきましたが以前は非常に安価な労働力を豊富に有していました。そのため、そのため現在のような非常に大きいGDPを有する国となっているのです。現在このように非常に高い成長性を有している国はインドとアフリカではないでしょうか? 両国(州)とも、先進国の外資参入により、発展しているという側面を有しており、サービス業が発展しているため、現状では経済的格差が大きい状況です。しかし、今後安価な労働力という側面を利用して製造業が発展していくことによって、非常に大きな経済規模を有する経済圏が誕生するのではないでしょうか?

 しかし、このようにインドやアフリカが高い成長性をもって国際的なプレゼンスを発揮するのは、まだ当分後の話です。直近ではやはり最大の移民受け入れ国であるアメリカや世界の金融市場の中心の一つであるロンドンを首都におくイギリスなどの優位性は揺らぎにくいのではないでしょうか? ということで、中期的だいたい5年程度の投資の場合にはアメリカやイギリスなどに投資を行い、10年以上のスパンで見るときにはインドやアフリカなどの新興国に投資をすることで、非常に大きなリターンを狙うことができるのではないでしょうか?

 

 今回は、「ひと」という側面から経済や株価に関して見てきました。経済が成長するためには人口が増えることは良いことですが、その一方で資源などにも限りがあります。そして、増えすぎる人口がきっかけになって、国際問題なども生まれかねません。そうなると、紛争難民が生まれる基になる可能性もあります。そうした紛争が株価を押し下げることも考えられます。ということで、一概に人口が増加する国が投資先としてよいとは言えませんが、新興国は今後大きな成長性を有しているのも確かです。長期投資によって大きなリターンを得られるように今のうちに始めてみてはいかがでしょうか?

 今回の内容は以上です。

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